「分詞構文」の版間の差分

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2014年9月21日 (日) 14:38時点における版

分詞構文(ぶんしこうぶん)とは、分詞が導く副詞が、文全体を修飾し、結果として副詞の代用をしたり、文を簡略化する構文のことをいう。従位接続詞の導く副詞節は主文の主節とともに複文を形成するが、分詞構文が用いられた文は、同じ意味を表現しても単文となる。主に主節の主語が同じである場合に用いられる。英語においては、分詞構文は文語的な表現であり日常的な英文に頻繁に使うべきではない[1]

英語における分詞構文

一般的な分詞構文

分詞構文は、下記の従位接続詞の代用をする。

例)the little girl began to cry, left to herself.
When the little girl was left to herself, she began to cry.
「その小さな女の子は、ひとりぼっちになると、泣き出した。」
原因・理由
例)Being a child, I couldn't understand what my mother said.
As I was a child, I couldn't understand what my mother said.
「私は子どもだったので、母の言ったことが分からなかった。」
条件
例)Turning left at the next corner, you will find the post office.
If you turn left at the next corner, you will find the post office.
「次の角を左に曲がれば、郵便局が見つかるでしょう。」

実際には、if の代わりの分詞構文はあまり用いられない。will があるのが一つの目印。

譲歩
例)Wounded and tired, he continued to work.
Though he was wounded and tired, he continued to work.
「怪我をしている上に疲れていたが、彼は仕事を続けた。」

譲歩も、Admitting のように、動詞自体に譲歩的な意味が含まれているような場合を除いてあまり用いられない。

付帯状況
例) Looking for my key, I happened to find the book I had lost.
I was looking for my key and happened to find the book I had lost.
「鍵を探していたら、なくした本を偶然見つけた。」
接続
接続に於いて順接であるか逆接であるかは文脈に因る。
例)He went back home, playing tennis.
→He went back home, and played tennis.
慣用的な表現
使用されていく過程で慣用的に独立分詞構文の意味上の主語を省略されたもの。文法的には後述の懸垂分詞構文と分類されることもある。
frankly speaking (≒to be frank with you) 「率直に言えば」
generally speaking (≒to speak generally) 「一般的に言って」
strictly speaking「厳密に言うと」

独立分詞構文

分詞構文に於いて主文と分詞構文内の意味上の主語が一致しない場合、分詞構文の始めに意味上の主語となる名詞、或いは代名詞を挿入する場合、それを独立分詞構文と呼ぶ。ただし、独立分詞構文は一般にラテン語派生であると考えられており、非常に文語調であるとみなされ使用を避ける傾向にある。意味的には通常の分詞構文と何ら変わるところが無い。

例)The Prime Minister published a new bill, it resulting in conflict in the Diet.

→The prime Minister published a new bill, and it resulted in conflict in the Diet.

「首相は新しい法案を発表したが、それによって国会では対立が発生した。」

また以下の慣用的な表現も独立分詞構文であると見なせる。

night coming on「夜になったので」

weather permitting「天候が許せば」

懸垂分詞構文

独立分詞構文内に於いて意味上の主語が省略された場合、それを懸垂分詞構文と呼ぶ文法家もいる。この構文は非標準であると見なされることが多いが、慣用的な分詞構文は文法的にこれに分類されると主張する者もいる。この構文は主に話者にとって分詞構文内の意味上の主語が明白であるときに使用され、その意味は他の分詞構文に基づく。

例)Generally speaking, honesty never pays.
「一般的に言って、正直は割に合わない。」

この例文において、分詞構文の意味上の主語を一般原則にしたがって考えれば、主文の主語すなわちHonesty(正直)となる。しかし正直(Honesty)が何かを話す(speaking)ということはありえない。この場合、文脈などからspeakingの意味上の主語はweやtheyなどであることが容易に想定されるうえ、「一般的に言って」という意味さえ伝われば意味上の主語は重要ではない。[2]そのためわざわざ"We generally speaking, ..."などとしなくてもよい。その結果、分詞構文の意味上の主語が主文の主語と異なるにもかかわらず、分詞構文の意味上の主語が明示されない文章となる。これが懸垂分詞構文である。

英語とその他の印欧語における分詞構文の相違点

印欧語において分詞は主に過去のことを表すが、印欧語の中で英語の分詞構文にのみ前述の接続の例のように未来を表す単純等位接続文を取り得る。分詞構文は主にラテン語の影響を受けて形成されたものであると考えられているが、単純接続の分詞構文の場合は分詞構文の方式を借りる形として英語独自に発展したものであるとされている。従って、文語的であるとして使用を控える傾向にある分詞構文の中で単純接続の分詞構文は比較的頻繁に使われる。

関連項目

脚注

  1. 江川泰一郎『英文法解説』金子書房刊、2005年11月10日発行(p.346)
  2. ""Generally speaking, ..."は慣用的な表現である。